台風大雨後の南房総エリア~酷い濁りと黒鯛との関係を探る
台風10号は温帯低気圧に変わったが、依然として発達した雨雲が関東地方に大雨をもたらしている。昨日から降り続いていた豪雨も、千葉県の外房エリアでは午後には曇りに変わる予報だ。
夕まづめには雨が上がるものの、濁った水と漂流している木材や海藻のせいで、エリア選びを慎重にしなければ釣りは難しい状況だろう。
磯で釣果が望めないと判断し場所を移動、カイズ(黒鯛)と手に汗握る闘いを繰り広げたが、なんとか狙いのイサキをゲットすることができた。
海の状況と天候
潮回りと天候
・大潮 17時満潮
・曇り
・北・北東風
・波 1.0~1.3m
接岸する浮遊物と濁り
フカセ釣りの釣果
黒鯛/カイズ40~30㎝: 3匹 イサキ35㎝ 1匹
フカセ釣りの状況
磯では外道だけの釣果
今回は海の濁りがひどく、最初は磯から釣りをスタートしたが、釣れるのはアイゴやタカノハダイばかり。海の状況が良くないと判断し、近くの堤防へ移動することにした。
磯:16時~18時
・途中で小雨に見舞われるも、海藻などの浮遊物が少ないエリアを選択
・普段釣れないような外道が多く集まっている様子
・海の状況が良くないと判断し移動
堤防から釣るためのフカセ釣り戦略
堤防:19時~22時
・暗くなってからの浮遊物の確認は困難
⇒ 浮遊物の影響を懸念し、左右どちらでも釣り座を構えられる堤防へ
・干潮間際まで釣りが可能な水深がある堤防をチョイス
・波風は穏やかで釣りやすい環境ではあったが、黒鯛が足元に集まっている様子
下潮の流れが強めなので、コマセは足元へ撒く。狙いはイサキ、タナは一ヒロと短めに設定する。軽めの2Bウキで浅いタナをしっかり探る。
足元近くではフグの猛攻が激しいが、30分も経たずにアタリが消える。浅いタナではエサが残り、遠投すればフグが釣れるので分かりやすい。足元には黒鯛や他の大物が潜んでいる可能性が大きい。
仕掛けを3Bウキ、タナ1.5~2ヒロで調整し、海底を漂わせるイメージで仕掛けを入れる。
万が一の大物に備えハリスを2.5号から4号へと変える。
「潮の壁」とは潮流の境目を指す。今回、潮の壁の下では沖へ流れ、上では手前へ流れる。潮の壁は三次元的に縦横斜めに変化し、瞬間ごとにその形状が変わるため、明確な線引きは不可能だ。
それでも仕掛けを投入し、ウキの沈み方や仕掛けの流れる方向を観察すれば、潮流の予測ができる。
予想通り、黒鯛とカイズがヒット。銀色に青みがかった美しい魚体だ。しかし、この時期の黒鯛は味が落ちるため迷わずリリース。
黒鯛を3匹釣り上げたが、まだ足元に黒鯛が潜んでいる気配がある。
そこで遠投し、なんとか尺越えのイサキをゲットすることができた。
フカセ釣りにおける推測と検証
狙いは「イサキ」。大雨後、釣り場が限られている中でどうアプローチするか。
1. 「濁り」「大荒れ」「強風」 ⇒ 黒鯛が居る可能性大
2. 黒鯛が居ると他の魚は隠れて出てこない
3. 黒鯛を釣ってしまうのが手っ取り早い
4. 黒鯛が複数いる場合は時間ロスが大きい
タナを大幅に下げて黒鯛のタナへとシフトさせる。タナや仕掛けを変え、ガン玉の位置を微調整しながら黒鯛の喰うタナを探り当てる。
フカセ釣りとは、推測と検証の連続である。
荒れ海や濁りがあるときに黒鯛が釣りやすい理由
- 嗅覚・触覚で餌を探す
視界が悪くなると、黒鯛は嗅覚や触覚を使い、活発に餌を探し回るようになる。 - 波が餌を巻き上げる
荒れた海では波が海底の小動物を巻き上げ、餌が増えるため、黒鯛が集まりやすい。 - 警戒心が薄れる
波音や風音により警戒心が低下し、普段より大胆に餌に食いつく。 - 酸素供給が増える
波が酸素を供給し、黒鯛の活動がさらに活発になる。 - 天敵が動きにくくなる
濁りで天敵の活動が減少し、黒鯛はより安心して餌を探すようになる。
黒鯛以外の狙いの魚を釣るには・・・
①黒鯛を早い段階で釣ってしまう
②エサ取りが居ないエリア=黒鯛が居る可能性大
⇒ エサ取りが居る場所に絞る
足元にはまだ黒鯛やカイズが居たと思われる。黒鯛3匹を釣り、更にコマセを集中的に撒いてもエサ取りが現れない。また違うポイントであればフグなどが釣れる状況から推測できる。
検証不足ではあるが、自然を相手にする釣りは不明な部分も多い。
黒鯛の針掛りから予想できる魚と仕掛けの状況
針掛りが際どい位置に掛かっている
黒鯛3匹とも、針はカンヌキやその付近にかかっていた。中には、皮一枚でギリギリかかっている魚体もいたのだ。
3匹すべてが際どい位置で針掛かりしていたことから、状況を推測する。
理想的な仕掛けの位置とのギャップ
今回唯一行わなかったのが、ベタ底に這わせる釣りである。
予想以上に、下潮の潮流の勢いが強く仕掛けが浮いていたと思われる。
魚は斜め上方向でエサを咥え、反転した瞬間に針が口にかかる。エサが捕食しづらい位置にあったか、仕掛けが合っていないのだ。
仕掛けが合っていないとは、ガン玉の重さや位置、ハリスの長さに問題があることだ。
しっかりと調整できていれば、針は確実に口に掛かり、他の黒鯛も釣ることができたに違いない。
さらに、大型の黒鯛は頭が良く警戒心が強いため、針の違和感があればすぐに吐き出す。針には掛からなくとも、エサだけ取られるシーンがあったことも考えられる。
今回の狙いはあくまで「イサキ」であったが、釣りの本質は人間が自然の状況に合わせることにある。
磯からの移動を経て、黒鯛に執着した部分もあったが、結果として非常に充実した釣行となった。自然の恵みに感謝だ。